オフィス移転を検討していると、「結局、全部でいくらかかるの?」という疑問にぶつかる方は少なくありません。移転費用は旧オフィスの原状回復から新オフィスの契約、内装工事、引越し作業まで多岐にわたり、想定以上にふくらむケースもあります。
この記事では、オフィス移転にかかる費用の全体像から内訳と相場まで、網羅的に解説します。
オフィス移転の費用はいくら?規模別の目安シミュレーション
オフィス移転の費用総額は、1坪あたり20万〜50万円程度が一般的な目安です。ただし、ビルのグレードや内装へのこだわりによって大きく変動します。「社員1人あたり約2〜3坪」を基準に必要坪数を算出し、坪単価を掛けると自社の概算が出しやすくなります。
| 社員数 | 想定坪数(1人3坪) | 費用目安(坪単価30万円想定) |
|---|---|---|
| 10人規模 | 約30坪 | 約600万〜1,500万円 |
| 30人規模 | 約90坪 | 約1,800万〜4,500万円 |
| 50人規模 | 約150坪 | 約3,000万〜7,500万円 |
テレワーク導入で出社率が低い場合は1人あたり2坪程度に抑えられることもあるため、自社の働き方に合わせて必要面積を見極めることが費用を左右する第一歩です。
オフィス移転にかかる費用の全体像
オフィス移転の費用は、大きく「旧オフィスの退去費用」「新オフィスの入居費用」「引越し・その他費用」の3つに分けられます。
| 費用カテゴリ | 主な内訳 |
|---|---|
| 旧オフィスの退去費用 | 原状回復工事、不用品廃棄など |
| 新オフィスの入居費用 | 敷金・礼金・仲介手数料、内装工事、什器購入など |
| 引越し・その他費用 | 運搬費用、ネットワーク工事、住所変更手続きなど |
なかでも最も大きなキャッシュアウトになりやすいのが、敷金を含む新オフィスの契約関連費用です。全体像を早い段階で把握しておくことで、予算オーバーや資金ショートを防ぎやすくなります。
オフィス移転にかかる費用の内訳と相場
オフィス移転では、想像以上に多くの費用項目が発生します。ここでは次の9つの内訳に分けて、それぞれの相場感を解説します。
- 旧オフィスの原状回復費用
- 新オフィスの契約関連費用(敷金・礼金・仲介手数料など)
- 新オフィスの内装工事・設備工事費用
- 什器・家具・OA機器の購入費用
- 引越し・運搬費用
- ネットワーク・電話・複合機の移設・設置費用
- 移転通知・住所変更手続きにかかる費用
- 不用品の廃棄・処分費用
- その他・見落としがちな諸費用
旧オフィスの原状回復費用
オフィスを入居前の状態に戻す「原状回復工事」は借主の義務です。相場は1坪あたり3万〜10万円程度で、大型ビルやタワービルでは坪単価5万円以上になることもあります。
ビルによっては「指定業者」での施工が求められ、相見積もりが取りにくいことが費用の差につながります。工事範囲や指定業者の有無は契約書に記載されていますので、移転を決めたら早めに確認しておきましょう。
参考:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」
新オフィスの契約関連費用(敷金・礼金・仲介手数料など)
新オフィスの契約時には、敷金(保証金)・礼金・仲介手数料・保証会社費用・火災保険料などがまとめて発生します。
| 費用項目 | 相場目安 |
|---|---|
| 敷金(保証金) | 賃料の6〜12ヶ月分 |
| 礼金 | 賃料の1〜2ヶ月分(不要の場合もあり) |
| 仲介手数料 | 賃料の1ヶ月分が上限(宅建業法による) |
| 火災保険料 | 2年契約で2万〜3万円程度 |
たとえば賃料50万円の物件で敷金12ヶ月分なら、敷金だけで600万円が必要です。契約条件は物件によって異なるため、複数の不動産会社に相談して比較しましょう。
参考:国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(原状回復ガイドライン再改訂版)」
新オフィスの内装工事・設備工事費用
内装工事費用は物件の状態によって大きく異なります。
| 物件タイプ | 内装工事費の坪単価目安 |
|---|---|
| スケルトン物件 | 10万〜30万円/坪 |
| 居抜き物件 | 数万〜10万円/坪 |
加えて、電気工事やLAN配線、空調工事などの設備工事も必要で、社員1人あたり約5万円が目安です。工事区分(A工事・B工事・C工事)によって費用負担者が異なりますので、契約前にビル側へ確認しておきましょう。
什器・家具・OA機器の購入費用
オフィス家具を新たに揃える場合、社員1人あたり5万〜15万円程度が相場です。すべてを買い替える必要はなく、状態の良い什器は再利用し、リースも選択肢に入れることで無駄な出費を抑えられます。
引越し・運搬費用
引越し費用は社員1人あたり2万〜5万円程度が相場です。繁忙期(2〜3月)は通常期の1.5倍近くになることもあるため、閑散期(5〜9月)を狙うか、平日・早朝便の割安プランを活用すると費用を抑えられます。
ネットワーク・電話・複合機の移設・設置費用
回線工事・LAN敷設・複合機のリース変更などの通信インフラ費用は、社員1人あたり5万〜8万円程度が目安です。工事業者の手配が遅れると開業日に間に合わないリスクがあるため、移転の2〜3ヶ月前には業者を選定しておきましょう。
移転通知・住所変更手続きにかかる費用
取引先への案内状の印刷・郵送、名刺や封筒の刷り直しなどで数万〜十数万円程度が発生します。また、法務局での本店移転登記(登録免許税:管轄内3万円、管轄外6万円)や、税務署・年金事務所への届出も必要です。手続きの漏れは業務トラブルにつながるため、チェックリストを作って対応しましょう。
参考:法務局「商業・法人登記申請手続」
不用品の廃棄・処分費用
不要な家具や機器の処分は産業廃棄物処理業者への依頼が必要で、2トントラック1台分で7万〜8万円程度が目安です。状態の良い什器は買取業者やリユースサービスを活用すれば、廃棄費用をかけずに売却益が出ることもあります。
その他・見落としがちな諸費用
コンサルティング費用、社員の定期代変更・精算、ウェブサイトや印刷物の住所修正費用など、細かな費用も積み上がると数十万円以上になることがあります。予算には総額の10〜15%程度を「予備費」として確保しておくと安心です。
オフィス移転の費用はいつ支払う?タイミングと資金計画
移転費用は「契約時」「工事着工時」「引越し当日」「退去後」と段階的に発生します。特に注意したいのが「ダブル賃料」の問題で、旧オフィスの解約予告期間(通常6ヶ月前)と新オフィスの契約開始日がずれると、両方の賃料を同時に支払う期間が生じます。
また、旧オフィスの敷金返還は退去後3〜6ヶ月後が一般的で、そのまま新オフィスの費用に充当することは通常できません。いつ・いくらのキャッシュが出ていくかを時系列で整理し、資金繰り表を作成しておきましょう。
オフィス移転の費用に使える補助金・助成金
国や自治体の補助金・助成金を活用すれば負担を軽減できます。代表的な制度を4つご紹介します。なお、制度は年度ごとに内容が変わるため、必ず最新の公募情報をご確認ください。
- デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)
- 小規模事業者持続化補助金
- テレワーク促進助成金(各自治体)
- その他の補助金・助成金
IT導入補助金
IT導入補助金は、2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」へ名称が変更されました。中小企業がITツールやクラウドサービスを導入する際に、費用の1/2〜最大4/5(通常枠の補助額は最大450万円)が補助されます。事前に登録された「IT導入支援事業者」を通じた導入が必要です。
参考:中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金(旧 IT導入補助金)のご案内」参考:デジタル化・AI導入補助金事務局「通常枠」
小規模事業者持続化補助金
販路開拓や生産性向上に取り組む小規模事業者を支援する制度です。補助率は2/3、通常枠の上限は50万円ですが、特例を組み合わせると最大250万円まで受けられます。申請には商工会議所・商工会での事業支援計画書の作成が必須です。
参考:中小企業庁「小規模事業者持続化補助金について」
参考:経済産業省 中小企業庁「小規模事業者持続化補助金」
テレワーク促進助成金(各自治体)
移転と同時にテレワーク環境を整備する場合、各自治体の助成金が活用できることがあります。たとえば東京都では「テレワークトータルサポート事業」として機器導入経費等を助成しています。
助成内容は自治体ごとに異なりますので、移転先のホームページを確認してください。
参考:東京都産業労働局「テレワーク活用に向けた支援」
参考:東京都「テレワークトータルサポート事業 助成金等について」
その他の補助金・助成金
移転の目的によっては「ものづくり補助金」「事業承継・M&A補助金」なども活用できる場合があります。制度が複雑なため、中小企業診断士や商工会議所に相談して自社に合う制度を見極めてもらうのが得策です。
参考:中小企業基盤整備機構「R7年度 小規模事業者・中小企業向け補助金スケジュール」
オフィス移転の費用を抑える5つのポイント
移転費用は工夫次第で大きく削減できます。ここでは効果の高い5つのコスト削減ポイントをご紹介します。
- 見積もりは複数の業者から取る
- 居抜き物件・セットアップオフィスを検討する
- 什器・家具は継続使用と新調を見極める
- 引越しは繁忙期を避けてスケジュールを立てる
- フリーレント・賃料交渉など契約条件を交渉する
1.見積もりは複数の業者から取る
同じ条件でも業者によって数十万〜数百万円の差が出ることがあるため、2〜3社からの相見積もりが最も即効性のあるコスト削減策です。
比較の際は金額だけでなく「作業範囲」「追加費用の有無」も確認しましょう。
2.居抜き物件・セットアップオフィスを検討する
前テナントの内装が残った「居抜き物件」なら内装工事費を大幅に削減でき、坪あたりの工事費が半分以下になるケースもあります。家具やネットワーク配線が整備済みの「セットアップオフィス」なら、工事期間中の二重賃料も短縮できます。
3.什器・家具は継続使用と新調を見極める
移転=全て買い替え、ではありません。まだ使える什器や家具は新オフィスにそのまま持っていくことで、購入費用を抑えられます。
おすすめは、移転前に「再利用・新調・売却・廃棄」の4分類でリストを作成することです。不要な什器を買取業者に売却すれば、廃棄費用をかけずに売却益を得られる可能性もあります。
4.引越しは繁忙期を避けてスケジュールを立てる
オフィス移転の繁忙期は1〜3月と9〜12月です。この時期は引越し業者の需要が集中し、通常期に比べて費用が割高になります。閑散期(5〜9月)を狙うことで引越し費用を抑えられるほか、業者の日程調整もしやすくなります。
5.フリーレント・賃料交渉など契約条件を交渉する
フリーレントとは、入居後の一定期間は賃料が無料になる契約条件のことです。新オフィスで内装工事を行う期間に合わせて1〜3ヶ月程度のフリーレントを交渉できれば、初期費用を大幅に軽減できます。
さらに、物件の空室状況や市況によっては、敷金の減額や坪単価の値引きが認められるケースもあります。交渉は「してみなければわからない」ことが多いため、不動産仲介会社を通じてビルオーナーに打診してもらうとよいでしょう。
オフィス移転の費用に関する会計処理(勘定科目)
オフィス移転では普段使わない勘定科目が登場します。代表的な費用項目と勘定科目を以下に整理しました。
| 費用項目 | 勘定科目 | 備考 |
|---|---|---|
| 原状回復工事費 | 修繕費 | 敷金から差し引かれる場合は貸方を「差入保証金」に |
| 敷金(返還されるもの) | 差入保証金 | 資産計上。返還されない部分は「長期前払費用」 |
| 礼金(20万円以上) | 長期前払費用 | 契約期間で均等償却 |
| 礼金(20万円未満) | 支払手数料 / 地代家賃 | 支出時に全額経費計上可能 |
| 仲介手数料 | 支払手数料 | — |
| 内装工事費 | 建物附属設備 | 資産計上し減価償却 |
| 引越し費用 | 雑費 / 荷造運賃 | 一般的には「雑費」が多い |
| 不用品廃棄費用 | 雑費 | 固定資産は「固定資産除却損」で処理 |
| 火災保険料 | 損害保険料 | — |
特に注意したいのが敷金の処理です。返還される部分は「差入保証金」、返還されない償却部分は「長期前払費用」に区分します。会計処理は複雑になりがちですので、顧問税理士に早めに相談することをおすすめします。
参考:国税庁「建物賃貸借に係る保証金から差し引く原状回復工事費用」
参考:国税庁「第8節 資本的支出と修繕費」
オフィス移転の費用を見積もる際の注意点
「見積もりを取ったから安心」と油断するのは危険です。養生費や残材処分費、エレベーター使用料などが「別途実費」となっているケースは少なくありません。
また、オフィス賃貸では通常6ヶ月前の解約予告が求められます。これを失念すると違約金が発生するリスクがあるため、契約書を確認して移転計画に組み込んでおきましょう。見積もり精度を上げるには、新旧オフィスの正確な広さ・社員数・荷物量を事前に把握し、実態に基づいた数字を業者に伝えることが重要です。
オフィス移転の費用に関するよくある質問
オフィス移転の費用に関するよくある質問に回答していきます。
オフィス移転の費用の目安はどのくらいですか?
一般的には、1坪あたり20万〜50万円程度が総額の目安です。社員10人規模(約30坪)なら600万〜1,500万円、30人規模(約90坪)なら1,800万〜4,500万円程度を見込んでおくとよいでしょう。ただし、ビルのグレードや内装のこだわりによって大きく変動しますので、あくまで参考値としてお考えください。
原状回復費用はどこまで負担しなければなりませんか?
住宅の賃貸と異なり、オフィス賃貸では原則として借主の原状回復義務が広く設定されています。入居前の状態に完全に戻すのが基本で、壁紙やカーペットの張り替え、間仕切りの撤去なども含まれることが一般的です。範囲は賃貸借契約書に記載されていますので、契約内容を必ず確認してください。
参考:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」
補助金を使ってオフィス移転の費用を減らせますか?
はい、活用できる補助金制度はいくつかあります。移転に伴うIT環境の整備にはデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)、販路開拓を兼ねた環境改善には小規模事業者持続化補助金、テレワーク環境の構築には自治体の助成金などが該当します。
費用を抑えるために一番効果的な方法は何ですか?
複数業者への相見積もりが最も即効性のある方法です。同じ条件でも業者によって大きな価格差が生じるため、2〜3社から見積もりを取って比較するだけでコストを削減できることが多くあります。それに加えて、居抜き物件の検討や繁忙期を避けたスケジュール設定を組み合わせると、より効果的にコストを圧縮できます。
まとめ
オフィス移転の費用は坪単価20万〜50万円が目安とされ、旧オフィスの退去費用・新オフィスの入居費用・引越し関連費用の3つのカテゴリで構成されます。費用全体の見通しを早い段階で立て、相見積もりの取得・居抜き物件の活用・繁忙期を避けたスケジュール設計の3つを柱にコスト管理を進めることが、予算オーバーを防ぐ鍵になります。
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