「オフィスが古くなってきた」「従業員の出社意欲が下がっているようだ」——そんな悩みを抱えながらも、移転となるとコストや手間が大きすぎると感じている方も多いのではないでしょうか。そのような場合に有効な選択肢が、現在の場所にとどまりながら環境を刷新できる「既存オフィスの改装」です。
本記事では、改装のメリット・デメリット・種類・進め方から業者選びのポイント・実際の事例まで、改装を検討するうえで知っておきたい情報をまとめて解説します。
既存オフィスを改装する5つのメリット
「改装にそこまで効果があるのか?」と疑問に感じる方もいるかもしれませんが、オフィス環境は従業員のパフォーマンスや企業イメージに直接影響します。まずは改装を検討するうえで押さえておきたい5つのメリットをご紹介します。
- ・業務効率・生産性が向上する
- ・従業員のモチベーションと定着率が高まる
- ・企業ブランド・コーポレートイメージが向上する
- ・社内コミュニケーションが活性化する
- ・移転と比べてコストと手間を抑えられる
業務効率・生産性が向上する
動線が悪い、会議室が少ない、集中できるスペースがないといったオフィスの課題は、従業員が気づかないうちに生産性を下げています。一般社団法人日本オフィス家具協会(JOIFA)の調査によると、オフィスワーカーの約65%が「オフィス環境は仕事の成果に影響を与える」と回答しています。
改装によってレイアウトや動線を最適化することで、「移動・探す・待つ」といった非生産的な時間を削減し、業務効率の改善につながります。
参考:一般社団法人日本オフィス家具協会「オフィスワーカーから見た、オフィス環境ニーズのトレンド」
従業員のモチベーションと定着率が高まる
快適なオフィス環境は、従業員の「働きたい」という気持ちに直結します。スターツコーポレートサービス株式会社のアンケートによると、オフィスに満足している従業員の87%は「仕事が面白い」と感じており、不満を抱える従業員との間に大きなモチベーション差があることが示されています。
また厚生労働省は従業員満足度(ES)の向上が労働生産性や人材確保に直結するとして、職場環境整備を呼びかけています。改装による環境改善は、離職防止と採用競争力の強化にもつながる投資です。
参考:スターツコーポレートサービス株式会社「【プレスリリース】オフィス環境の満足度が仕事のやる気に直結!87.1%の社員が高いモチベーションを報告|スターツコーポレートサービスが働く環境に関する意識調査を実施」
企業ブランド・コーポレートイメージが向上する
オフィスは採用候補者や来客が企業を体感する最初の接点です。エントランスや応接スペースの印象は、採用面接での候補者の志望度や取引先からの信頼感に影響します。
たとえばコーポレートカラーを内装に取り入れたり、会社のビジョンを感じさせるサインデザインを設置したりするだけで、訪れた人への第一印象は大きく変わります。「空間がそのまま名刺になる」という意識で改装のデザインを考えることが大切です。
社内コミュニケーションが活性化する
部署間の交流が少ない、雑談や偶発的な会話が生まれにくいといった課題は、レイアウト改装で解消できる場合があります。具体的には、共用スペースやカフェエリアを設けて「偶然の出会い」が起きやすい動線を設計することが有効です。
リモートワーク時代こそ、出社することに価値を感じられる「コミュニケーションが生まれるオフィス」への設計が重要になっています。
移転と比べてコストと手間を抑えられる
オフィス移転には敷金・礼金・引越し費用・旧オフィスの原状回復費用など多くのコストが発生します。一方、既存オフィスの改装であれば現状の設備を流用できる分、工事費用が大幅に抑えられます。
既存設備をそのまま活用した改装であれば坪単価5〜10万円程度に抑えられるケースもあり、スケルトンからの新規内装工事(坪単価20〜40万円程度)と比べると費用差は明らかです。また、移転に伴う敷金・礼金・住所変更手続き・取引先への連絡といったコストと業務負担もゼロになります。
既存オフィスの改装で注意すべき2つのデメリット
改装にはメリットが多い反面、事前に把握しておくべき注意点もあります。特に賃貸オフィスを利用している場合は、改装の範囲や退去時のリスクが移転とは異なるため、しっかり確認しておきましょう。
- ・施工中は業務継続に支障が出る可能性がある
- ・賃貸オフィスは原状回復義務の範囲を確認する必要がある
施工中は業務継続に支障が出る可能性がある
工事中は騒音・粉塵・作業員の往来などにより、通常どおりの業務が難しくなる場面があります。
特に大規模な改装の場合は、仮オフィスの手配や「フロアを区分けして段階的に工事を進める」などの対策が必要になることもあります。事前にスケジュールを業者と綿密に調整し、従業員へのアナウンスや顧客への周知を忘れないようにしましょう。工事期間中の業務継続計画(BCP)も合わせて検討しておくと安心です。
賃貸オフィスは原状回復義務の範囲を確認する必要がある
賃貸オフィスには、退去時に「借りたときの状態に戻す」原状回復義務があります。改装した内容によっては、退去時に高額な原状回復費用が発生するリスクがあります。
原状回復費用の目安は1坪あたり3〜7万円程度(小・中規模オフィスの場合)とされており、大規模オフィスやハイグレードビルでは坪10万円を超えるケースもあります。50坪のオフィスであれば150万〜350万円以上を見込んでおくのが現実的です。
改装を始める前に、賃貸借契約書の原状回復条項を確認し、必要に応じてオーナーと書面で取り決めを交わしておくことが重要です。
既存オフィスの改装の種類
改装は大きく「全体的な改装(フルリノベーション)」と「部分的な改装(ポイントリノベーション)」の2種類に分かれます。どちらを選ぶかによって、費用や工期・効果が大きく異なります。課題の深さと予算のバランスを見ながら選択しましょう。
全体的な改装(フルリノベーション)
床・壁・天井・間仕切りをまとめて刷新する全体改装は、オフィスの課題を抜本的に解決したいときに適しています。費用の目安は坪単価20〜40万円程度(内容・グレードによる)で、たとえば30坪のオフィスであれば600万〜1,200万円規模の予算が必要です。
ゼロベースで設計できるため、働き方改革やブランドリニューアルなど大きな変革を伴う場合に特に有効です。一方で工期が長くなるため、仮移転や分割施工の検討も必要になります。
部分的な改装(ポイントリノベーション)
エントランス・会議室・執務エリアの一部など、課題のある箇所に絞って改装するのが部分的な改装です。既存設備を活かせるため費用が抑えられ、坪単価10万円前後が目安とされており、既存設備をほぼそのまま流用する最小限の改装なら5〜10万円程度に抑えられるケースもあります。
「まずはエントランスとミーティングスペースだけ刷新する」といったように、優先度の高いエリアから手を付けられるのも大きなメリットです。
| 種類 | 費用の目安(坪単価) | 工期の目安 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 全体改装(フルリノベーション) | 20〜40万円/坪 | 2〜6か月程度 | 大規模な働き方改革、ブランドリニューアル |
| 部分改装(ポイントリノベーション) | 10万円前後/坪(既存設備流用なら5〜10万円程度) | 数日〜数週間 | 予算を抑えたい、特定の課題だけ解消したい |
失敗しない既存オフィス改装の進め方
改装の進め方を誤ると、工事後に「思ったのと違う」「予算オーバーになった」といったトラブルにつながります。以下の5つのステップを順番に踏むことで、失敗リスクを大幅に減らすことができます。
- ステップ1:現状分析と課題・目的の明確化
- ステップ2:予算とスケジュール計画の策定
- ステップ3:デザイン・レイアウトの検討
- ステップ4:施工業者の選定と許認可手続き
- ステップ5:施工・完了検査・アフターケアの確認
ステップ1:現状分析と課題・目的の明確化
改装を成功させる第一歩は「なぜ改装するのか」を具体的な言葉に落とし込むことです。従業員へのアンケートやヒアリングを実施し、「集中できるスペースが足りない」「会議室が予約で埋まっていて使えない」など、現場レベルの課題を定量的に把握することが重要です。
改装後に「出社率が○%向上した」「会議効率が上がった」と評価できるよう、改装の目的をKPI(成果指標)として設定しておくと、業者への依頼もより明確になります。
ステップ2:予算とスケジュール計画の策定
目的が決まったら、予算とスケジュールを現実的に設定しましょう。改装費用の内訳は設計費(総費用の3〜10%程度)・工事費・什器費・IT工事費など多岐にわたります。想定外の追加費用に備え、総予算の10〜15%程度を予備費として確保しておくと安心です。
またスケジュールは業務への影響を最小限にする観点から、繁忙期を避けたり、分割施工でフロアごとに従業員の移動を管理したりといった配慮が必要です。
ステップ3:デザイン・レイアウトの検討
デザイン検討では「課題解決に直結しているか」を常に問い直すことが大切です。たとえば「集中業務とコミュニケーション業務を分離したい」なら、フォーカスエリアとコラボレーションエリアをゾーン分けする設計が有効です。
コーポレートカラーや企業ロゴを内装に反映させることで、ブランドイメージの統一も同時に図れます。担当部門だけで決めず、できるだけ現場で働く従業員の声も取り入れることで、完成後の満足度が上がります。
ステップ4:施工業者の選定と許認可手続き
業者選定と並行して、賃貸オフィスの場合はオーナーへの許可申請を進めましょう。業者への依頼は1社だけでなく、複数社から相見積もりを取ることで適正価格を把握できます。
テナントビルの工事区分(A工事・B工事・C工事)によっては施工業者の選択が制限される場合もあるため、事前確認が欠かせません。消防法関係の届け出(防火対象物使用開始届など)が必要な場合は、着工の7日前までに所轄消防署への提出が求められます。
ステップ5:施工・完了検査・アフターケアの確認
施工が始まったら、定期的に現場確認を行い、設計内容どおりに進んでいるかをチェックしましょう。完了後は施工業者と一緒に現地を検査し、不具合や仕上がりの問題がないかを確認したうえで引き渡しを受けます。
また、アフターフォローの有無・保証期間を契約前に確認しておくことで、引き渡し後に問題が発覚したときも迅速に対応してもらえます。改装後は従業員からフィードバックを収集し、次のフェーズの改善につなげる仕組みを作ることも大切です。
既存オフィスの改装レイアウト・デザインを決める際の3つの視点
「おしゃれな空間にしたい」というデザイン優先の思考で改装を進めると、完成後に「見た目はよくなったが使い勝手が悪くなった」という失敗につながりがちです。レイアウトとデザインは以下の3つの視点をベースに検討しましょう。
- ・改装の目的・課題解決に逆算したゾーニングをする
- ・従業員の働きやすさ・アクセシビリティを考慮する
- ・コーポレートカラー・ブランドアイデンティティを反映させる
改装の目的・課題解決に逆算したゾーニングをする
ゾーニングとは、オフィス内のエリアを用途・機能ごとに分類・配置することです。たとえば「集中業務のためのフォーカスエリア」「チームで議論するコラボレーションエリア」「リフレッシュできる共用スペース」など、目的に合わせてゾーンを設計し、それぞれに適した家具・音環境・照明を配置することが重要です。
まず「どのような行動・活動をオフィスで行うか」を洗い出してから空間に落とし込む手順で進めましょう。
従業員の働きやすさ・アクセシビリティを考慮する
デザイン性を高めることに注力するあまり、動線や収納が使いにくくなるケースは珍しくありません。改装では「誰もが使いやすいか」という観点も大切にしてください。
具体的には、通路幅の確保、共用プリンターや会議室への移動距離の短縮、収納の配置など実用面の検討が必要です。従業員の多様な働き方や身体的状況にも配慮した設計は、長く愛されるオフィスの条件でもあります。
コーポレートカラー・ブランドアイデンティティを反映させる
エントランスや壁面にコーポレートカラーを用いたり、会社のビジョンをサイネージや壁面グラフィックで表現したりすることで、社内外への一貫したブランドメッセージを発信できます。色彩心理の観点からは、青系は集中力を高め、緑系はリラックス効果を促すとされており、エリアごとに意図したカラーを使い分けることも一つの手です。
コーポレートアイデンティティ(CI)に基づいてオフィスのデザインコンセプトを設計することで、単なる模様替えにとどまらない、ブランディングにつながる空間づくりを実現できます。
既存オフィスの改装を依頼する業者を選ぶ3つのポイント
改装の質は、依頼する業者によって大きく左右されます。ホームページの見た目がよくても、オフィス改装の実績やサービス内容には大きな差があります。業者選定では以下の3点を必ず確認しましょう。
- ・オフィス改装の施工実績が豊富である
- ・法律・許認可手続きに精通している
- ・アフターサービス・保証体制が整っている
オフィス改装の施工実績が豊富である
飲食店や住宅の内装を得意とする業者であっても、オフィス改装は別のノウハウが必要です。働き方改革やハイブリッドワーク対応のゾーニングなど、オフィス特有の設計知識と施工実績を持つ業者を選ぶことが成功への近道です。
ポートフォリオや事例集を確認し、業種・規模が自社に近い事例があるかチェックしましょう。可能であれば、ショールームを訪問して仕上がりのクオリティを直接確認することをお勧めします。
法律・許認可手続きに精通している
賃貸オフィス特有の工事区分(A・B・C工事)の取り扱いや、消防法・建築基準法に基づく各種届け出は、オフィス改装経験が豊富な業者でないと見落としが起きやすいポイントです。
見積もりの段階で「B工事の発生可能性についての確認をしているか」「消防への届け出をサポートしてくれるか」を質問してみることで、法的知識の深さを見極めることができます。これらに対応できない業者に依頼すると、後から追加費用や是正工事が発生するリスクが高まります。
アフターサービス・保証体制が整っている
工事が完了してから数か月後に「壁紙がはがれてきた」「扉の立て付けが悪くなった」といった不具合が生じるケースもあります。契約前に保証期間(一般的に1〜2年が目安)の範囲と対応窓口を確認しておきましょう。
複数社を比較する際は価格だけでなく、アフターフォローの手厚さも評価基準に加えることが、長期的に後悔しない業者選びのコツです。
既存オフィス改装の成功事例
ここでは、弊社が手がけた2つの施工事例をご紹介します。それぞれの課題と施工内容を参考に、自社の改装イメージを具体化してみてください。
事例1:サンセイR&D様
東京都台東区上野、100坪のオフィスにおける改装事例です。「サプライズのあるプレゼンルームをつくりたい」「動線のロスをどうにかしたい」「エントランスからプレゼンルームへの間に仕掛けがほしい」という要望のもと、70インチの大型スクリーンでプレゼンルームに変化をもたせ、照度でエントランスからの動線を差別化するデザインを実現しました。
タイル施工で素材感を強調しながら照度で空間を調整することで、来客に強い印象を与えるオフィスへと生まれ変わっています。
事例2:イベントコミュニケーション様
千葉市中央区、150坪のオフィスにおける改装事例です。「限られたコストの中で改装を最大限提案してほしい」「外装部の雨漏り調査」「老朽化した電気設備・エアコンの調査と入れ替え」という要望に対し、クロス工事・塗装工事・外装工事・空調設備工事・電気工事を一括で対応しました。
素材感のある壁紙と看板デザインの刷新で、限られた予算の中で内外装ともに印象を一新した事例です。3Dシミュレーションを活用して事前に完成イメージを確認できた点も、オーナーの意思決定をスムーズにしたポイントでした。
まとめ
既存オフィスの改装は、移転に比べてコストと手間を大幅に抑えながら、業務効率・従業員モチベーション・企業ブランドをまとめて改善できる有力な選択肢です。成功させるためには、改装の目的を明確にしたうえで費用・業者・法的手続きを丁寧に進めることが欠かせません。
ただし、オフィスの広さや立地そのものに課題がある場合は、改装だけでは解決できないケースもあります。まずは改装で解決できる課題を整理し、それでも足りないと感じたときにはオフィス移転もあわせて検討することが、最適な職場環境づくりへの近道です。
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